トンネル現場の奇妙なTABOO トンネル工学雑学入門

URADO目黒トンネルの記録>トンネル現場のタブー

1 山の神

 トンネル工事に関わるタブーについては、「山の神」にまつわることが比較的多い。山の神は、女神であるとされてる。 よって来たる由来については定かではないが、一説によると雌犬がご神体であるとも言う。古典では大山紙神とされ、 山を領する神、とされる。斧指、坑夫等トンネル工事の作業員たちにとって、 日々の作業が危険が伴い、常に生命の危険を感じる事が多く、作業中は気を抜く事のできない真剣勝負の連続であってみれば、 仕事の終わった後の解放感は非常に大きなものである。 その心の振幅の大きさからして、仕事には厳重なタブーを設けて潔斎して臨み、仕事が終われば大いに飲んで束の間のひとときをエンジョイする。 彼らにとっては、山の神によって今日一日の無事が守られ、明白の活動が保証されるとすれば、彼らが山の神を尊崇し、そのお怒りにふれぬよう 、多くのタブーをつくる事もごく自然にうなづげるところである。

2 坑内へ女性を入らせない。

坑内ヘ女性を入れると、山の神と同性であるので神様が嫉妬する、と言う。 山の神様が山を揺すって落石落盤を起こす。

3 出産後数日はその主人は坑内に入れない。

これは出産の状態をたとえて、山が割れて落盤につながる、という考え方があるという。 別の理由として、常に清潔であるべき坑内で女性の体の穢れを忌み、その主人は潔斎する、というものもある。

4 飯に湯、茶、汁などをかけてはいけない

これは山が水を持って崩れ、落石、落盤が発生すると言う意味で禁忌したものという。

5 坑内で口笛を吹いてはいけない。

山の神は女神であり、歌舞音曲を好み、口笛で浮かれて踊り出すので、山を揺すり落石、落盤を起こす。あるいは山の神のご神体は雌犬で あるから、口笛で神様を呼び起こし山が荒れる等という。

6 犬を坑内に入れてはならない。

昔のトンネル断面は今から思えば小さいものが多かった。その狭い中へ犬に入り込まれては邪魔でもあったろうし、 狭い坑内で自在にとび歩かれると作業員の神経にも障ったであろう。 また、斧指、坑夫等は山の神は雌犬であり、犬が坑内に入れば山の神が自らの領域を侵かされた、として神が怒り、 犬を追い払うために山を振るわせ落石、落盤を起こすと考え、犬を坑内に入れないという話しである。

 その他に、「鉄片の打ち合わせ(拍子木)をしてはいけない」「法衣を裏返しに着てはいけない」 「坑内で拍手を打つてはいけない」「僧(坊さん)が坑内に入ることを忌む」などがある。